3Dプリンターでノック式ボールペンを作ってみた

こんにちは、ナカムーです。久しぶりにブログを更新いたします。
今回はタイトルの通り、3Dプリンターを使ってノック式ボールペンの製作に挑戦してみました。ノック式ボールペンは、複数のこまかな部品が組み合わさることで、ペン先の出し入れを可能としています。そこで、細かな造形に強みを持つDLP方式やLCD方式の3Dプリンターを活用すれば、この出し入れ機構を含めたノック式ボールペン全体を再現できるのではないかと考えました。
ボールペンはキャップ式かノック式の二種類に大別できます。キャップ式は書く際にキャップを外して書ける状態にするタイプで、ノック式は後ろにある棒を押して書ける状態にするタイプです。本記事では、ノック式ボールペンに使用されている、バネおよびリフィル以外のすべてのパーツを3Dプリンターで作ります。
ノック式ボールペンのノック機構について
ノック式ボールペンの棒を押すとペン先が出て、もう一度押すと引っ込みます。普段当たり前のように使っているボールペンですが一体どのような仕組みでペン先が出たり引っ込んだりするのでしょうか?
ということで、ノック式ボールペンのノック部の機構を説明していきます。機構の名称はダブルノック機構や回転カム機構、ノックカム機構などの名称がついているみたいです。
本記事では回転カム機構と呼ばせていただきます。この回転カム機構を実現させるための部品は、ノック棒・カム・回転子です。これらの部品はボールペンのペン先とは反対側にあります。カムに関してはボディーと一体化している場合がほとんどだと思います。

これらの部品がどのようにかみ合い、回転カム機構を実現しているのかを説明する動画を作成しました。
回転カム機構を言葉で説明するのは少し難しいので、、お許しください。
モデリング
まずは、回転カム機構に必要な部品3点をモデリングし、それに合わせてボディー、そしてクリップをモデリングしました。ノック棒・カム・回転子には摺動性かつ耐摩耗性に優れた材料で造形します。
カムについては後軸筒と一体にした場合、カムと同様の材料で後軸筒を作る必要があります。
そこで、カムと後軸筒を別々でモデリングすることにより、後軸筒の材料の制限をなくしました。
その結果、後軸筒は前軸筒と同様に高精細や価格の安い樹脂など、さまざまな樹脂が使用可能となりました。
クリップの機構については、高反発な柔軟系材料を使用した円柱をばねの代替とし反発させるようにしました。

造形してみた
ノック棒・カム・回転子はEMAKE3D社のStellar 1 Pro(LCD方式)で造形し、その他の部品はCarima社のIMD-C(DLP方式)で造形を行いました。ノック棒・カム・回転子をStellar 1 Proで造形したのは、ピクセルサイズがIMD-Cよりも小さく、より細かい造形が可能であるためです。

材料に関して、ノック棒・カム・回転子は摺動性・耐摩耗性に優れたAS Beigeを採用します。
前軸筒・後軸筒・クリップには高精細レジンであるHD 8K Proを採用します。以下に、材料・造形時間などの情報を表にしました。
| 部品名 | 3Dプリンター | 材料 | 造形時間 | 造形速度 |
|---|---|---|---|---|
| 回転子 カム ノック棒 | Stellar 1 Pro (0.03mmピッチ) | SHAPE FORMER AS Beige | 2h | 10.5mm/h |
| 前軸筒 後軸筒 クリップ ピン | IMD-C (0.05mmピッチ) | SHAPE FORMER HD 8K Pro | 4h 3h30min 2h50min | 20mm/h |
| ゴムばね | IMD-C (0.1mmピッチ) | SHAPE FORMER Flex 45A | 25min | 25mm/h |
造形後&組み立て
造形直後の様子と後処理後の様子です。回転子・カム・ノック棒は大きさがわかるようにスケールを置いています。

以下は、組み立て中の動画になります。
クリック感もよく、ボールペンとして問題なく使用できそうです。
以上、3Dプリンターでノック式ボールペンを作ってみたという内容でした!
まとめ
今回は、3Dプリンターでノック式ボールペンを作ってみました。3Dプリンターで回転カム機構を再現するとなると光造形方式のような細かな造形を得意とするものでないといけません。
DLP方式であるCarima IMD-CとLCD方式であるEMAKE3D Stellar 1 Proはどちらも細かいモデルの造形を得意としています。ノック棒・カム・回転子に関しては、より細かい表現が得意なStellar 1 Proを使用しました。Carima IMD-CはStellar 1 Proよりも4倍ほど強いUVを出力可能です。そのため、様々なレジンを比較的高速に造形可能となっております。
今後も3Dプリンターの可能性を広げるべく、様々なものを造形していきたいと思いますので、ぜひご期待ください!
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